ピアノを学ぶ人にとって、
「ハノン」と言う言葉を耳にする事があります。
ハノンと言えば、
ピアノ教本(練習曲)のジャンルに入ると思われます。

最近、某SNSで、
「ハノン」が必要か不要かで、賛否両論の投稿を拝見します。
今回は、
ピアノ教材「ハノン」についてお話したいと思います。



特に
「ピアノを勉強している方」
「ピアノを教えている方」
には、読んで頂きたい内容になっています。
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「ハノン」は必要なのでしょうか…??
結論から申し上げますと、
「ハノン」が必要か否かについては、学ぶ人によって異なります。



そんなん、中途半端じゃん!!



複雑な理由があるからです…。



まず、
「ハノン」が必要な人は、下記に当てはまる人になります。
①今後、ピアノ専攻として、受験する人。
②ピアノ専攻で勉強している人。
③ピアノの楽器と近づきたい人。
④ショパンの作品を究めたい人。



逆に、
ピアノ初歩者の方はおススメ出来ません。
ピアノを専門に学ぶ人は、
試験などでスケール(39番)が課題になっている学校もあると思います。
ただし、
ハノンにこだわり過ぎるのは危険です。



まずは、「ハノン」の人物についてお話します。



因みに、彼はフランス人です。
ハノン(アノン)
まず、
注意して欲しい事があります。
日本では、「ハノン」と言われていますが、
「アノン」が正しい名前です!!
彼のフルネームは、
シャルル・ルイ・アノン(Charles Louis Hanon)になります。



“H”は読みませんので、アノンになります。



アノンだと、作者不詳(Anon.)とごっちゃになるので、
ハノンと使い分けているのかもしれません…。
(詳細は不明ですが…)
「ハノン・ピアノ教本」は、
「達人ピアニストになる60の練習曲」が原約になります。
1893年に出版され、
パリ音楽院でも採用され、すぐに外国でも翻訳・出版されています。



「パリ音楽院」で採用されたという事は、
初心者の為の教本ではないと言う事になります。



つまり、
更にテクニックを向上する為の参考書的な扱いになるのでしょうか…。
※以下、「ハノン」で統一したいと思います。
ハノン教材の批判
パリ音楽院で使用されていた「ハノン」。
中には、批判されているケースもあります。



春秋社から出版されている書籍
『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』
では、下記の様に批判されています。
ハノンが身体の指以外の部分について言及しているのは、
手首の事だけです。
ハノンの例は、19世紀から20世紀にかけてずっと続いてきた、
指だけを偏重するピアノ奏法の典型例であり、
21世紀になった今でも、「指偏重主義」が本当に良いかどうかは、
まったく議論されていません。
無理してまでがむしゃらに練習をすると、
指を痛めてしまう可能性があります。



「ハノン教本」は、
指と手首に対する意識が強い教材です。



また、ハノンと言えば、
薬指と小指を鍛えるイメージが強いと思います。



人間の指で、一番弱いのは、
実は親指になります。



だからと言って、
薬指と小指ばかり意識しすぎるのは危険です。
おススメの「ハノン」練習法
批判されているケースもありますが、
意外と「ハノン」は、役に立つケースがあります。



北村も、39番のスケール(音階)は、
練習する時があります。



黒鍵の多い調の作品を弾く前とかに、
良くスケールを弾いて慣らしています。



また、
ピアノと言う楽器の構造と向き合う時にも使用しています。
それでは、
おススメの練習方法を簡潔にお伝えしたいと思います。
(北村スタイルですので、あくまでもご参考までに…)
【ポイント】
・39番のスケールと41番のアルペジオはおススメ。
・60番全部を練習しなくてもOK。
・「速く弾かなきゃ」というこだわりは捨てる!!
①1番から練習するのはやめましょう。
本は初めから読むのが主流ですが、
「ハノン」は、1番から練習すると挫折する傾向が強いです。



前半は、
反復練習(ハ長調)がメインになっています。



前半は、
「ピアノ弾く音の強さをコントロールする」練習に適しているので、
先にスケール(39番)から練習する事をおススメします。
②39番(スケール)の練習方法
スケール(音階)は、
ピアノの試験でも使用されるケースが多いです。
なので、
ハノンの練習では重要になります。



ポイントとしては、
黒鍵が多いロ長調(嬰ト短調)から始める事をおススメします。



ハ長調(イ短調)のスケールは最後に練習しましょう。



実は、
簡単に見えるハ長調は、
一番難しいのです。



ショパンは、
ロ長調は弾きやすい反面、
ハ長調は難しいと主張されています。



それはショパンが、
人間の手の構造をキチンと理解しているからです。
先程も申し上げましたが、
練習したい曲を弾く前に、
その対象になる調のスケールを弾いてみるものいいかもしれません。



41番のアルペジオ(分散和音)の練習もおススメです。
④前半(第1部)の活用方法
先程も申し上げましたが、
前半は、「ピアノと向き合う」為の練習と思っています。



右手と左手がユニゾンになっています。



まずは、
1つの旋律を右手と左手で1小節ずつ
交互に弾いてみてはいかがでしょうか??



右手と左手で交互に弾いている時、
同じ強さで弾けているかチェックして見ましょう。



まずは、
ゆっくりのテンポで弾いてみましょう。
両手で弾く場合も、
弾く強さのコントロールを意識して、
1音1音丁寧に弾いてみるといいでしょう…。
⑤速く弾き過ぎない!!
「ハノン」と言えば、「BPM=〇〇以上で弾かなきゃ!!」と思われがちですが、
速く弾くつもりはありません。
速く弾き過ぎると、
指や腕を痛めてしまう可能性があり、逆効果になります。



全音の楽譜では、
「1~60番まで1時間で弾けます」と記載されています。



1時間で弾ければ上達できるとは限りません。



速く弾くだけではなく、
1音1音を丁寧に聞き分ける事が、上達への近道です。
「ハノン」にこだわり過ぎない!!
「ハノン」はピアノ上達には役立ちますが、
だからと言って、ハノンに執着しすぎるのはやめましょう。
理由はたくさんありますが、
最後に、フジ子・ヘミングさんの言葉で終わりたいと思います。
初心者はピアノを弾くための指の練習なんかしないほうがいい。
曲の中には、とんでもなく難しい部分があるでしょ。
私はその曲の中で、指の練習をする事にしているの。
人生は、指の練習をしているには短すぎるし、第一、意味がないもの。
(フジ子・ヘミング「魂のことば」より)
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