前回、
J.S.バッハの作品「インベンション」の弾き方についてお話しました。
「インベンション」をマスター出来たら、
次は「シンフォニア」に進む人が多いと思います。
でも「シンフォニア」は、
かなり難易度がかなりアップします。
今回は、
「シンフォニア」の弾き方の対策についてお話したいと思います。
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「シンフォニア」の難易度
「シンフォニア」は「3声のインベンション」といわれています。
つまり、
「A」さんと「B」さんと「C」さんが三人で会話をすると言う事です。
「インベンション」に比べると、
難易度(レベル)が高くなってしまいます。
「インベンション」では、下記が主流でした。
「A」さんの会話⇒右手で弾く。
「B」さんの会話⇒左手で弾く。
でも、
「シンフォニア」の場合は、
一人の会話を右手と左手を上手く使って演奏しなければなりません。
なので、
ガラリとレベルが変わってしまい、
挫折してしまう人もいらっしゃるのではないでしょうか。
「シンフォニア」は15曲有ります。
「インベンション」と同様に、
最初から順番に弾くと挫折する可能性が有ります。
「シンフォニア」のオススメの弾く順番
「シンフォニア」を初めて弾く場合は、
5番(変ホ長調)をオススメします。
5番の作品は、
装飾音符が難しそうに見えます。
でも、
左手が分散和音が主流になります。
その為、
他の14曲に比べると、弾きやすいと思います。
まずは、
右手の装飾音符を外して弾いてみましょう。
次に、
15番(ロ短調)に挑戦します。
この曲は、
途中1人が会話をお休みしている場面が多いので、
弾きやすいと思います。
ただ、
この曲を速く弾く人もいらっしゃいます。
速度記号はありませんので、
まずはゆっくりと弾いてみてください。
次に、
1番(ハ長調)に挑戦です。
この曲は、
テーマのリバース(逆行)バージョンがありますので注意しましょう。
この3曲が終われば、
6番(ホ長調)⇒4番(ニ短調)⇒13番(イ短調)⇒11番(ト短調)
へと進んで行くといいでしょう。
14番(変ロ長調)と9番(ヘ短調)は
最後に回しましょう。
個人的には、
1番と6番を完全にマスターした方がいいと思います。
それは、
主題が分かり易いのも一つです。
YouTubeに『シンフォニア6番ホ長調』を載せました。
まずは、
各声部に異なった音色で演奏したバージョンを聞いてみましょう。
※下記の動画は、アコースティックピアノバージョンです。
下記のYouTubeでは、
第1番 ハ長調の解説をしています。
「シンフォニア」も実際に会話をしてみましょう
「シンフォニア」は、
「インベンション」と比べて登場人物が一人増えます。
考え方は同じなので、
3人の会話をイメージしてみましょう。
例えば、
「A」さんを上声部
「B」さんを中声部
「C」さんを下声部
に当てはめてみましょう。
ただし、
人によって解釈は様々ですので
ご参考までに…。
では、
最初にオススメしている『シンフォニア5番(変ホ長調)BWV791』を例に挙げてみます。
場面は3人がレストランに居ると思って下さい。
「A」さんと「B」さんが会話をしています。
「C」さんは二人の会話に入らずに、一人でスマホをいじっています。
この曲は、
「C」さんだけが音の動きが異なります。
「A」さんと「B」さんの音の動きが似ています。
次に
『15番ロ短調(BWV801)』を見てみましょう。
音符の音数が多いので、
個性が強く自分の事ばかり話す3人をイメージしましょう。
全体的に真ん中の「B」さんは、
二人の会話に入れず時々休んでいます。
(1~6小節・11~13小節・26~29小節・33小節)
逆に、
自己主張が強い「A」さん
相槌がうまい「C」さん
とイメージするのもいいかもしれません。
弾き方のポイント
でも、
やはり1番(ハ長調)と6番(ホ長調)を練習すると、
スランプになってしまう事もあります。
ここでは、
「シンフォニア」の弾き方のポイントについてお話したいと思います。
①サスティン・ペダルは慣れてから使用しましょう。
「インベンション」と同様に、
初心者はサスティンペダルを使用しない方がいいでしょう。
ただ、
今回は3声になりますので、響きが必要になる場合があるかもしれません。
「シンフォニア」がキチンと弾ける様になったら、ペダルを使用するのもありです。
もし使用するならば、
『5番(変ホ長調)』で試してみるのもいいでしょう。
②譜面は横で追ってみましょう。
「シンフォニア」は3声です。
譜面には3つのパートに分かれています。
まずは、1つのパートの音がどの様に動いているかを確認しましょう。
上声部のパート(Aさん)
中声部のパート(Bさん)
下声部のパート(Cさん)が、
どのような音で動いているかチェックしてみましょう。
その時に、
主題(繰り返し出てくるテーマ)を意識する事も忘れずに…。
③お助け楽譜を使う手もあり。
楽譜は基本、
「原典版(Urtext)」をオススメしています。
しかし「シンフォニア」は、
中声部(Bさんの会話)を両手で表現する事になります。
余りオススメしませんが、
白い春秋社版等、校訂版を使用するのも一つです。
それは、
校訂者が弾きやすい様に指使いを工夫しているからです。
ただし、
校訂版でもピンからキリまであります。
知人がツェルニーが校訂した全音の楽譜を使用していたら、
パニックになってしまった事がありました。
その時に、
春秋社版をオススメしたら弾ける様になるケースもあります。
でも、
校訂版はリスクもありますので、専門の先生に相談をしましょう。
④「フランス組曲」を弾いてみる。
「シンフォニア」が難しい場合は、
フランス組曲を弾いてみるのも一つの対策です。
様式は事なりますが、
3声の曲がいくつかありますので役には立つかと思います。
また、
「パルティータ第1番変ホ長調(BWV825)」の「プレリューディウム」を弾いてみるのもいいでしょう。
(ただし、舞曲の要素が強くなりますので、舞曲の構成を理解する必要があります)
さらりと挙げてみましたが、
ピアノを習っている人は、先生と相談するのが一番いいと思います。
⑤速く弾きすぎない。
「インベンション」同様、速く弾きすぎ様にしましょう。
この曲の目的は「歌うような奏法」が目的です。
テンポはそれが慣れてからにしましょう。
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